事業的規模でない不動産貸付でも小規模宅地等の特例の適用はできるか?

事業的規模でない不動産貸付でも小規模宅地等の特例の適用はできるか?

相続税の計算にあたって、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、対象となる土地が事業用のものか居住用のものであることが必要です。 不動産の貸付の場合は、事業的規模の貸付けであるか … 続きを読む 事業的規模でない不動産貸付でも小規模宅地等の特例の適用はできるか?

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相続税の計算にあたって、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、対象となる土地が事業用のものか居住用のものであることが必要です。
不動産の貸付の場合は、事業的規模の貸付けであるかどうかによって、所得税の取扱いが異なりますが、相続税の計算でも影響があるのでしょうか?

事業的規模の貸付けとは?

不動産の貸付が事業として行われているか、そうでないかによって所得税では取扱いが異なります。事業として行われているかどうかは不動産の貸付けの規模で判断します。不動産の貸付けが事業的規模の貸付けにあたれば、青色申告特別控除の金額が最高65万円(そうでない場合は10万円)となるなど、所得税の計算では有利な取扱いを受けることができます。

事業的規模であるかどうかは、不動産の貸付けの規模によって社会通念に従って実質的に判断することとなりますが、次のいずれかの場合には事業的規模の貸付けとなります。

1)賃貸することのできる独立した室数が10室以上であること
2)おおむね5棟以上の家屋の貸付けを行っていること

事業的規模かどうかは相続税にも影響があるか?

それでは、事業的規模でない不動産の貸付けを行っている場合にも、相続税の計算にあたって、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできるのでしょうか?

相続開始の直前時点で、被相続人の貸付事業に用いられていた土地で、一定の要件を満たす場合には、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用対象となり、限度面積200平方メートルまで50%の割合で減額して評価することができます。

ここでの貸付事業とは「不動産貸付業」「駐車場業」「自転車駐車場業」の他にも、事業とはいえない規模であっても不動産の貸付けやこれに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」が含まれます。そのため、不動産の貸付けを行っている場合は事業の規模を問わずに小規模宅地等の特例の適用対象となります。

ただし、「相当の対価を得て継続的に行っていること」が必要です。土地を一時的に貸した場合や賃料をもらわずにタダ貸ししているような場合には特例の適用を受けることはできません。