相続発生後に必要な手続スケジュールを注意点と共に確認

両親など大切な家族が亡くなり相続が起きると、葬儀の手配や親せきへの連絡などに忙殺される日々がしばらく続きます。 故人の遺品整理や形見分け、遺産分けなどで忙しくなりますが、法務、税務 … 続きを読む 相続発生後に必要な手続スケジュールを注意点と共に確認

この記事は約6分で読み終わります。

両親など大切な家族が亡くなり相続が起きると、葬儀の手配や親せきへの連絡などに忙殺される日々がしばらく続きます。

故人の遺品整理や形見分け、遺産分けなどで忙しくなりますが、法務、税務、行政手続きの面で各種の届け出や申告、相談など様々な作業が必要になります。

これらは期限が定められたものもあり、機を逸するとペナルティが発生したり不都合が生じる危険があります。

本章では相続発生後に必要な各種手続きについて、注意点と共に確認していきますのでぜひ参考になさってください。

 

 

■死亡届けの提出(7日以内)

目下必要となるのが市区町村役場への死亡届けの提出です。

死亡届けの様式は医師が記入する死亡診断書と対になっているので、医師や病院から死亡診断書を受け取り、片面の死亡届けに必要事項を記載します。

法律上は故人の死亡後7日以内に届け出が必要ですが、死亡届けの手続きはその後に続くご遺体の火葬許可や埋葬許可の手続きにつながりますので、できるだけ早めに済ませるようにしましょう。

 

■自筆証書遺言の検認(遅滞なく)

被相続人が自宅内に自筆証書遺言を残していた場合、これを家庭裁判所に持ち込んで「検認」を受ける必要があります。

検認は遺言書の偽造や変造を防止するなどの意味があります。

封がされた自筆証書遺言を勝手に開封すると5万円以下の過料に処せられることがあるので注意してください。

 

検認の手続きは明確な期限は定められていませんが遅滞なく行うこととされており、検認の申し立てには戸籍謄本類などの資料の収集に時間がかかるので、余裕を持った手配が望まれます。

なお近年創設された法務局での遺言保管制度を利用した場合や、公正証書によって作成された遺言書は検認の手続きは不要です。

 

■相続放棄または限定承認の申述(3ヶ月以内)

もし相続放棄や限定承認をする場合、相続発生後3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きが必要です。

3ヶ月は余裕がありそうに思えるかもしれませんが実際は違います。

相続放棄や限定承認は被相続人が残した相続財産の構成上、借金などマイナスの財産がプラスの財産を超える時、あるいは超えるかどうか分からない時に検討するものです。

マイナスの財産がどれだけあり、プラスの財産がどれだけあるのかは精度の高い財産調査が必要です。

特にマイナスの財産の種類や額を調べるのが大変で、家族に隠して借り入れや借金をしている可能性を考えて念入りな調査が必要になります。

相続財産調査は手間と時間がかかるので、リミットとなる3ヶ月は決して余裕のある数字ではありません。

 

■準確定申告(4か月以内)

確定申告が必要な方が年の途中で死亡した場合、必要な申告納税が免除されることはありません。

本人が死亡しているので手続きができないため、代わりに相続人が準確定申告を行い所得税の精算をします。

通常の確定申告は申告年の翌年2月16日~3月15までが期限ですが、準確定申告は相続発生後4か月以内であることに注意が必要です。

被相続人が個人事業をされていたようなケースでは申告に必要な帳簿の捜索に手間取ることもよくあるので、相続発生後は早めに準備に動くようにしましょう。

準確定申告は被相続人の生前の住所を管轄する税務署に対して行います。

 

■遺産分割協議や相続登記(できるだけ早く)

後に続く相続税の手続きが可能となるよう、だれがどの遺産をどれだけ承継するのかを確定させなければいけません。

遺言書に従う場合は良いとして、遺産分割協議を行う場合は時間がかかります。

現状では遺産分割協議自体に期限はないものの、協議が整わないと相続税の手続きで不利益を被ることがあるのでできるだけ早く終えられるように手配が必要です。

協議が整った後は各種相続財産の名義変更手続きや不動産の相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)も必要です。

不動産の相続登記は現状では義務ではなく期限もありませんが、登記を済ませていないと様々な不利益が生じる危険があります。

また相続登記は法改正により2024年までには義務化されることが決まっていて、義務化後に登記を放置するとペナルティが課せられることになっているので、必ず登記手続きを済ませるようにしましょう。

 

■相続税の申告・納付(10か月以内)

相続発生から10か月以内には相続税の申告と納税の手続きが必要です。

注意点としてはまず、申告だけでなく納税も10か月以内にしなければならないので、高額になりやすい相続税の納税資金を準備しておくことです。

遺産の種類によっては現預金の配布が少なく納税資金を準備できないことがあるので、必要に応じて換金するなどして準備しておきましょう。

また遺産分割協議が整わず相続税の申告期限までに間に合わない場合、そのまま申告手続きをしないでいるとペナルティの対象になってしまいます。

税務上のペナルティを避けるためには、取りあえず法定相続分で分けたと仮定して申告納税を済ませる必要があります。

その際、一定の特例が使えず税負担が上がる可能性があるので「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきます。

そうすれば、申告期限から3年以内であれば遺産分割協議が終了した時点で改めて相続税の精算手続きをする際に特例を利用することができるので、税負担の軽減が望めます。

 

■まとめ

本章では相続発生後に必要な手続スケジュールを注意点と一緒に見てきました。

期限が設定されている各種の手続きについては、その手続きをするための準備に手間や時間がかかることを意識しましょう。

特に相続放棄や限定承認については、相続財産調査で漏れがあると大変なことになります。

大丈夫だと思って相続を承認した後で借金があることが分かると、相続人が借金の返済に追われるはめになる危険があります。

財産調査は独特のノウハウや経験が必要なため素人の方では難しいことも難点です。

みんなの相続では、提携の弁護士や司法書士などとワンストップでサポートさせていただくことが可能です。お気軽にご相談ください。