終活においては、自分の死後にどんな手続きが必要なのかを知ることも大切です。特にご家族は、そうでなくてもあなたとのお別れで心を痛めています。そんなときに少しでも手続きが楽になれば、ご家族も喜ぶのではないでしょうか。
そこで今日は、身内の死後に必要な手続きと、生前に準備できることをご紹介します。少しでもご家族の負担を減らしたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
死後に必要な手続き(死後事務)は思いのほか多い
まずは、身内の死後に必要な手続きからお伝えします。
身内の死後に必要な手続きのほとんどが、事務的な手続きです。そのため死後に必要な手続きを「死後事務」と呼びます。
身内が他界した後、まず行う死後事務は次の4つです。
- 死亡診断書や死体検案書の受け取り
- 死亡届の記入、提出
- 火葬許可申請書の記入、提出
- 火葬許可証の受け取り
これらの手続きを済ませて火葬許可証(埋火葬許可証)を受け取れば、葬儀の申し込みへと進めます。
この後に身内が行う手続きは、こちらです。
- 葬儀社へ連絡、打ち合わせ
- 身内や知人・友人、菩提寺などへ葬儀の連絡
- 通夜・葬儀・火葬
- 法要・納骨
こう記すと簡単に見えますよね。しかし実際には、いくつもの作業を同時に進める必要があります。例えば葬儀社を選んでいる間に遺体を安置しておく場所を考えたり、どんな葬儀を行うべきかなどを考えたりしなければいけません。
また通夜や葬儀については、取り決めなければいけないことがまだまだあります。具体的な内容は、こちらです。
- 葬儀の予算、規模、種類
- 通夜や葬儀を行う場所
- 連絡する人、しない人
- 通夜振る舞い(通夜で振る舞う飲食)について
- 精進落とし(火葬や法要後の飲食)について
- 返礼品や香典返しの予算、内容
- お坊さんに支払うお礼の金額
場合によっては、このほかにも考えなければいけないことがあるかもしれません。
また次の手続きについては期限のある届け出もあるため、葬儀や法要にまつわる手続きと同時に進める必要があります。
- 年金の受給停止
- 介護保険の資格喪失
- 住民票の抹消
- 世帯主の変更(世帯主が亡くなった場合)
- マイナンバーカード・住民基本台帳カードの返還
- 雇用保険受給資格者証の返還
- 国民健康保険被保険者証および後期高齢者医療被保険者証の返還・喪失届の提出
- 埋葬料・葬祭費・家族葬祭費の請求
- 高額医療費の還付申請
- 遺族年金の請求
- 年金受給者の死亡届・給付請求
- 運転免許証の返還
- パスポートの失効
※手続きの必要な項目は自治体によって異なります。詳細は役所でご確認ください
役所や年金事務所での手続き以外に必要な手続きは、こちらです。
- 生命保険金の請求
- 遺言書の捜索、検認
- 相続内容の確認、遺産分割
- 相続税の申告、納付
- 不動産・自動車・株式などの名義変更・売却・処分
- 銀行口座の調査、解約・払い戻し手続き
- 所得税の準確定申告
- 公共料金の名義変更、解約
- 引落口座の変更、引き落としの停止
- クレジットカードの解約
- 遺品整理
- 葬儀費用の支払い
- 仏壇・位牌・墓石などの用意
こんなにあるのかと驚かれた人も、いるのではないでしょうか。このように遺族が行わなければいけない手続きの数は思いのほか多いため、少しでも負担を減らしてあげたいと考えるなら生前にできる範囲で準備しておくことをオススメします。
では家族のために自分で準備しておけることとは、一体どのようなことでしょうか。最後に、身内のために自分で準備しておけるものをご紹介します。
エンディングノートと遺言書を準備しよう
家族に掛かる死後事務の負担を減らしたいなら、やはりエンディングノートの準備は欠かせないと考えられます。
エンディングノートとは、終活の一環として作成するノートのこと。エンディングノートを家族に向けて書いておけば、あなたの加入している保険や預貯金のある銀行口座、解約の必要な契約などが一目で分かります。

また相続する資産があるなら、遺言書の作成も欠かせません。遺言書を作成することで、遺産の内容を調べる手間が省けます。

他には、これらの準備を済ませておくことでも家族の負担を減らせるでしょう。
- 家族名義の口座に当面の生活費を移しておく
- 預貯金口座を1つにまとめておく
- 不要な不動産や自動車、株式などは名義変更や処分を済ませておく
- 世帯主を別の家族に変更する
- 死後事務をあらかじめ委託(委任)しておく
司法書士事務所や葬儀社などには、死後に必要な手続きをあらかじめお願い(契約)しておけるサービスがあります。資産や負債については可能な限り整理しておくことが大前提ではありますが、それでも心配な場合は死後事務の委任契約もぜひ視野に入れてみてください。
まとめ
今日は身内の死後に必要な手続きと、生前に準備できることをご紹介しました。
限られた時間の中でたくさんのことを考えたり決めたりしなくてはいけないため、納骨や香典返しが無事に終わるまでの期間に遺族は思いのほか神経をすり減らします。少しでもご家族の負担を減らしてあげたいと思う人は、元気なうちに自分でできることからどんどん進めておきましょう。