「縄伸び」「縄縮み」とは?相続税の評価はどうする?

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「縄伸び」や「縄縮み」といった言葉を聞いたことはありますか?土地について、公簿面積と実測面積がズレている状態のことをいいます。「縄伸び」や「縄縮み」があるとき、相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか?

 

「縄伸び」「縄縮み」とは?

「縄伸び(なわのび)」や「縄縮み(なわちぢみ)」といった言葉を聞いたことはありますか?土地について、公簿面積と実測面積がズレている状態のことをいいます。

 

「縄伸び」とは、公簿面積(登記簿上の面積)よりも実測面積の方が大きいことをいいます。(公簿面積>実測面積)

一方、「縄縮み」とは、実測面積よりも公簿面積(登記簿上の面積)の方が大きいことをいいます。(実測面積<公募面積)

 

例えば、登記簿の地積が200㎡となっている土地について、実際に測量すると300㎡あった場合は「縄伸び」、150㎡しかなかった場合は「縄縮み」となります。

 

土地の登記簿には面積(地積)が記載されていますが、記載されている面積は必ずしも正確ではありません。

特に地方の田畑や山林などで最近測量が行われていないような土地で「縄伸び」や「縄縮み」が起こっています。その原因としては、昔は測量技術が未熟であったこと、税負担を軽減するために面積を少なく申告していたことなどが考えられます。

一方、国土完了後の土地、土地区画整理事業の完了後の土地、近年に測量をして分筆をした土地などでは、公簿面積と実測面積のズレは起こりません。

 

 

「縄伸び」「縄縮み」があるときの相続税の評価

相続税の申告にあたって、公簿面積と実測面積が異なる場合は、「実際の地積(実測面積)」によって評価することとされています。したがって、測量をした場合は、実測面積で評価することとなります。

しかし、測量をするためには測量費用がかかります。
相続税の申告をするにあたって、必ず測量をしなければならないのでしょうか?

 

この点、国税庁の質疑応答事例では次のように書かれています。

『土地の地積を「実際の地積」によることとしているのは、台帳地積と実際地積とが異なるものについて、実際地積によることとする基本的な考え方を打ち出したものです。したがって、全ての土地について、実測を要求しているのではありません。』

 

つまり、必ずしも実測が必要とされているわけではなく、測量をしない場合は、公簿面積で評価することとなります。

ただし、あくまで「実際の地積」で申告をするのが原則であり、特に縄伸びの多い山林等では、立木に関する実地調査の実施、航空写真による地積の測定、その地域における平均的な縄伸び割合の適用等の方法で実際地積を把握することが求められています。また、それでも把握できないときで、評価に大きな影響を与える場合は、実測を行わなければなりません。

山林等でなくても、明らかに縄伸びをしていて評価に重要な影響を与えるような場合は、同様に簡易的な測量もしくは実測などによって、実際地積を把握する必要があると考えられます。

一方で、地積測量図がある土地や国土完了後の土地、土地区画整理事業の完了後の土地など、公簿面積と実測面積のズレが通常起こらないような土地では、公簿面積をそのまま使って問題ありません。

なお、明らかに縄縮みをしているような場合は、公簿面積で申告するよりも実測面積で申告する方が評価額が少なくなり税金も少なくなる可能性があります。

 

まとめ

「縄伸び」や「縄縮み」について、また、その際の相続税の評価について解説しました。公簿面積と実測面積に大きな差がなければ問題ありませんが、明らかに差があるような場合は税務署も気づき、後で修正申告が必要となる可能性があります。「縄伸び」「縄縮み」は税務上問題となる可能性もあるので、注意しましょう。