相続税・贈与税はどう変わる?令和8年度税制改正の注目ポイント

令和7年(2025年)12月に決定された「令和8年度税制改正大綱」において、資産を持つ方や相続対策を検討している方に影響の大きい「相続税・贈与税」の変更点が明らかになりました。 今 … 続きを読む 相続税・贈与税はどう変わる?令和8年度税制改正の注目ポイント

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令和7年(2025年)12月に決定された「令和8年度税制改正大綱」において、資産を持つ方や相続対策を検討している方に影響の大きい「相続税・贈与税」の変更点が明らかになりました
今回の税制改正は、格差の固定化を防止し、全ての人に挑戦の機会のある社会を実現する観点から、「公平性」の確保に重点が置かれています。そのため、一部の節税スキームに対しては現行制度を躊躇なく見直すという厳しい姿勢が示されました
本記事では、特に注目すべき相続税・贈与税の3大変更点を中心に分かりやすく解説します。

1.「教育資金の一括贈与」非課税措置が終了

祖父母から孫や子へ教育資金を贈与する際に利用されてきた「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」ですが、令和8年(2026年)3月末の適用期限をもって延長されずに終了されることとなります。

 

なぜ終了するのか?

これまでの利用実態から、富裕層の利用に偏り格差固定化の懸念があることや、教育費無償化・負担軽減が進んだこと、NISAが拡充されたことなどの環境変化を踏まえた結果とされています

すでに契約済みの資金はどうなる?

令和8年(2026年)3月31日までに拠出された金銭等については、引き続き契約終了まで非課税措置を適用することができます。駆け込みでの利用を検討されている方は、期限までに手続きを完了させる必要があります。

 

 

2. 節税防止が強化!「貸付用不動産」の相続税評価見直し

不動産を活用した過度な節税(いわゆるタワマン節税など)を防ぐため、新たな評価ルールが導入されます。貸付用不動産の市場価格と通達評価額との差(乖離)を利用して相続税や贈与税を大幅に圧縮する事例への対策です

 

新ルールの対象と評価方法

被相続人等が、相続等の課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産については、従来の路線価等ではなく、原則として「課税時期における通常の取引価額(時価)」に相当する金額で評価されます

実務上の計算(80%評価)

実務上の負担を考慮し、課税上の弊害がない限りは、取得価額を基に地価変動等を考慮して計算した価額の80%相当額での評価も認められる見通しです

いつから適用?

この新ルールは、令和9年(2027年)1月1日以後に相続等により取得する財産の評価から適用されます。ただし、自身が5年以上前から所有していた土地の上に家屋を新築したようなケースでは、一定の条件で適用除外となる見込みです

 

3. ラストチャンス!「事業承継税制」の計画提出期限延長

中小企業の世代交代を後押しする事業承継税制(特例措置)について、前提となる計画の提出期限が延長されました
  • 法人版事業承継税制(特例措置): 特例承継計画の提出期限を1年6ヶ月延長し、令和9年(2027年)9月末までとします
  • 個人版事業承継税制: 個人事業承継計画の提出期限を2年6ヶ月延長し、令和10年(2028年)9月末までとします 
  • 注意点:制度自体の延長ではない
    今回の延長はあくまで「計画の提出期限」の延長です。政府は本制度を、中小企業等の経営者の円滑な世代交代を通じた生産性向上という「待ったなしの課題を解決するための時限措置」と位置付けています。適用期限到来後のあり方については、制度の適用状況や課税の公平性などの観点を踏まえ、令和9年度税制改正で改めて結論を出すとされています。まだ手続きをしていない経営者にとってはラストチャンスと言えるでしょう。

 

4. その他の相続税・贈与税に関する注目の改正

その他にも、特定のケースに関係する以下の適用期限延長や見直しが行われています。
  • 医業継続に係る納税猶予の延長: 医療法人の事業承継を支援する医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限が3年延長されました
  • 農地等に係る納税猶予の延長: 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用に係る農地等を収用交換等により譲渡した場合に利子税の全額を免除する措置の適用期限が5年延長されました
  • 相続財産を贈与した場合の非課税制度の対象見直し: 相続財産を贈与した場合の相続税の非課税制度について、学校教育法等の改正による専修学校の専門課程の単位制への移行に伴い、学校法人への寄附等に関する対象が見直されました

 

まとめ

今回の令和8年度税制改正大綱により、相続税・贈与税の分野では「教育資金の一括贈与の終了」や「取得後5年以内の貸付用不動産の時価評価」など、節税を目的とした短期的な対策の封じ込めが明確になりました
これにより、長期的な視点での資産管理や生前贈与の検討がこれまで以上に重要になっています。特に不動産の購入を伴う相続対策を検討されている方は、新たな評価ルールの影響を大きく受ける可能性があります。早めに税理士などの専門家に相談し、シミュレーションを依頼することをおすすめします。