平成31年度(2019年度)相続税・贈与税の税制改正のポイント

平成31年度(2019年度)税制改正法と,政省令・関係告示が公布されました。相続税・贈与税については、個人版事業承継税制が新たに創設された他、民法(相続法)改正に対応した諸改正(成 … 続きを読む 平成31年度(2019年度)相続税・贈与税の税制改正のポイント

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平成31年度(2019年度)税制改正法と,政省令・関係告示が公布されました。相続税・贈与税については、個人版事業承継税制が新たに創設された他、民法(相続法)改正に対応した諸改正(成人年齢引下げへの対応・配偶者居住権の評価方法の制定など)が行われています。今回は平成31年度(2019年度)税制改正のポイントについて税理士が解説します。

 

1.個人事業者の事業承継税制の創設

認定相続人(承継計画に記載された後継者で、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受けた者)が、相続等で特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合に、特定事業用資産に対応する相続税の全額について納税猶予を受けることができる制度(個人版事業承継税制)が創設されました。この制度は時限措置となっており、対象期間は2019年1月1日から2028年12月31日までとされています。

なお、不動産貸付事業等はこの税制の対象事業から除外されています。また、特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例との併用はできません。

 

2.教育資金の一括贈与非課税措置の適用期限の延長

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、条件が厳しくなった上で、適用期限が2年間延長され、2021年3月31日までとなりました。

なお、2019年4月1日以後は、信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該信託等により取得した信託受益権等について、この制度の適用を受けることができなくなります。

 

3.結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の適用期限の延長

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、条件が厳しくなった上で、適用期限が2年間延長され、2021年3月31日までとなりました。

なお、2019年4月1日以後は、信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該信託等により取得した信託受益権等について、この制度の適用を受けることができなくなります。

 

4.民法改正による成人年齢引下げへの対応

相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢が現行の20歳未満から18歳未満に引き下げられました。

また、次の制度の受贈者の年齢要件が現行の20歳以上から18歳以上に引き下げられます。

相続時精算課税制度、直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例、相続時精算課税適用者の特例、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度

(関連記事)民法(相続法)の改正で相続のルールはこう変わる!

 

5.配偶者居住権等の評価方法の制定

民法(相続関係)の改正で、新たに配偶者居住権が設けられたことに伴い配偶者居住権等の評価額の計算方法が定められました。

■配偶者居住権の評価額の計算方法

配偶者居住権=建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

上記の計算で用いる、存続年数は遺産分割協議等によって定められた配偶者居住権の存続期間の年数で、配偶者の平均余命年数が上限となります。

配偶者居住権が設定された建物の評価額は、建物の時価から配偶者居住権の評価額を差し引いた金額となります。

 

■居住建物敷地利用権の評価額の計算方法

居住建物敷地利用権とは、配偶者居住権が設定された建物の敷地利用権のことをいいます。配偶者居住権を取得した場合、建物の配偶者居住権と合わせて居住建物敷地利用権を取得することとなると考えられます。

居住建物敷地利用権=土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

居住建物敷地の所有権の評価は、土地等の時価から居住建物敷地利用権の評価額を差し引いた金額となります。

 

6.特別寄与料に係る課税

民法改正により、相続人以外の者でも金銭の請求をすることができるようになりました(特別寄与料)。なお、受け取った特別寄与料は、遺贈により取得したものとみなして、相続税の課税対象となります。一方、相続人が支払った特別寄与料は、相続人の相続税の課税価格から控除することとなります。

 

まとめ

平成31年度(2019年度)税制改正のポイントについて解説しました。個人版事業承継税制の創設により、個人事業者の場合でも事業承継を円滑に進めることができるようになりました。また、特に、民法(相続法)の改正に対応した改正が多くなっていますので、民法(相続法)の改正内容もしっかりと理解しておきましょう。