土地を相続したときの税金について

土地を相続するとなると気になるのが相続税です。土地に関する価格の種類や相続税の計算方法について解説します。 1.土地の相続で考えたい価格の種類 土地の価格は、公示価格・路線価・固定 … 続きを読む 土地を相続したときの税金について

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土地を相続するとなると気になるのが相続税です。土地に関する価格の種類や相続税の計算方法について解説します。

1.土地の相続で考えたい価格の種類

土地の価格は、公示価格・路線価・固定資産税評価額・実勢価格の4つがあるとされています。よく一物四価といわれていますが、それぞれどのような価格なのかみていきましょう。

・公示価格
公示価格は、国土交通省が全国に定めた土地(標準的な土地)を基準にして、毎年1月1日時点の価格を決めて、4月頃に発表されます。路線価のベースとしても使われる価格で、土地売買の際にはよく参考にされる価格です。

・路線価(相続した土地の評価で使う)
路線価とは、道路に値段をつけたものです。道路に値段をつけることによって、接道している土地の値段を出しやすくしています。

相続する土地の値段を算出するときには、接道している道路の値段に土地の面積をかけて、価格を出します。

公示価格をベースにしているので、4月頃の公示価格の発表を受けて7月に発表されます。

また、路線価は、課税のための価格ですので、概ね公示価格の8割程度になるように設定されています。

・固定資産税評価額(相続した土地の評価で使う)
その名の通り、固定資産税(都市計画税も)に用いられるほか、登録免許税(不動産登記の税金)、不動産取得税にも使われています。相続した土地の評価をする際に、路線価がない土地については、この固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。

・取引価格
実際に取引される価格のことで、実勢価格ともいいます。不動産を売買する際には、この取引価格や公示価格、周辺環境などを加味して値段が決められています。

2.相続した土地の評価の方法

4つの価格の概要が分かったら、次に相続した土地の評価の方法です。この評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2通りがあります。ご自身の土地にどちらの評価方法が適用されるか確かめてみましょう。

・路線価方式
路線価が出ている土地の評価方法で、市街地ではこの方式が用いられるのが一般的です。

評価額の出し方は、まず、登記簿や納税通知書で土地の面積を確かめます。

次に国税庁のホームページにある財産評価基準書で1㎡あたりの路線価格を調べます。調べた土地面積と路線価をかければ、概算の評価額になります。これに、土地の形状・奥行きの長さ・間口の広さ、接している道路の状況など様々な条件を加味した補正をかけて評価額を出していきます。

注意しなければならないのは、登記簿上の面積が実測値と異なる場合です。実測値の方が大きい場合を「縄伸び」、実測値の方が小さい場合を「縄縮み」といいます。古くから代々相続しているような土地でよく起こります。

このような場合は、実測値をもとに土地の評価を行わなければなりません。

・倍率方式

路線価が定められていない土地の評価額を計算するときに使います。
路線価は主に首都圏や市街地には設定されていますが、すべての道路に設定されている訳ではありません。その際には、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。路線価方式では土地の形状などを考慮しなければならないのに対して、倍率方式では固定資産税評価額に地域ごとに定められた倍率を乗じるだけですので、比較的容易に計算することができます。

具体的には、基準年度の納税通知書で、相続する土地の固定資産税評価額を確かめます。この固定資産税評価額に国税庁のホームページにある財産評価基準書に記載されている倍率をかければ概算の評価額を出すことが可能です。

倍率方式で気をつけなければならないのは、固定資産税評価額は、基準年度を使うことです。基準年度とは、固定資産税が改訂された年のことです。

固定資産税評価額は、毎年では大変なので3年に一度改訂されています。ですから、倍率方式を使う場合は、その改訂された年のものを使用します。

「3年に一度の改訂なら、3年間はどれを使っても同じではないのか?」と思うかも知れませんが、変更を要するような事情があった場合などに役所が独自に固定資産税を変更していることがあります。固定資産税の改訂は3年に一回なのですが、役所が独自に変更している可能性があるので、基準年度の額と変わっている可能性があります

そのままだと正確な計算ができなくなる恐れがありますので、基準年度の固定資産税の評価証明書を役所から取り寄せて計算するようにしましょう。

3.土地の評価額から相続税の計算方法

・基本的な土地の相続税の計算方法

土地の評価額が分かったら、例を出して土地の相続税の計算をしてみましょう。

例えば、評価額1億円の土地を1人で相続した場合、相続税はいくら納めればよいのでしょうか?

まず、相続には基礎控除というものがあります。

「3000万円+600万円✕相続人の数」が基礎控除です。
これを超えなければ、相続税は発生しません。
今回は、1億円-(3000万円+600万円✕1)=6400万円(基礎控除3600万円)となります。

次に税率をかけて、それに対応した控除額を引きます(1000万以上は税率に対応した控除があります)。

6400万円✕30%(税率)-700万円(控除)=1220万円が相続税となります。

・特例や制度を活用して税額を抑える

居住用の土地については、小規模宅地等の特例で評価額を330㎡まで80%減額することができたり、1億6千万円か法定相続分のどちらか高い金額まで相続税が軽減される配偶者税額軽減特例もありますので、これらを積極的に活用することで相続税を抑えることができます。

また、相続対策(生前対策)をすることにより、相続税を抑えることもできます。

制度としては、生前贈与相続時精算課税制度などの贈与税の特例を活用することによって、相続税全体を抑えることが可能です。

このように制度を理解して、事前に準備を進めていれば、相続税を少なくすることも可能です。まずは持っている土地の評価額を知りましょう。しかし、一人でおこなうには大変な労力が必要です。税理士などの専門家への相談も視野に入れましょう。