相続時精算課税制度とは何ですか?

一定額以上の贈与をしたときには贈与税がかかります。この贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの方法があり、選択することができます。今回は相続時精算課税制度について税理士がポイン … 続きを読む 相続時精算課税制度とは何ですか?

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一定額以上の贈与をしたときには贈与税がかかります。この贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの方法があり、選択することができます。今回は相続時精算課税制度について税理士がポイントを解説します。

相続時精算課税制度とは?

贈与税は一年間で贈与した金額に応じて計算された金額を納税するのが原則です(暦年課税)。一方で、相続時精算課税制度といい、贈与した年には非課税枠と低い税率により贈与税を抑え、相続があったときに贈与した財産も含めて相続税を計算し、先に納めた贈与税との差額を納税する方法のことをいいます。

具体的に、相続時精算課税制度とは、次のような制度をいいます。

1.まず、贈与時に、贈与財産から非課税枠2,500万円を差し引いた金額に一律20%を乗じて計算する贈与税を支払います。

2.将来、相続があったときに、このときの贈与財産を相続財産に加えて相続税額を計算し、計算された額から1で支払った贈与税を差し引いた金額を納税します。1で支払った贈与税の方が多ければ還付を受けることができます。

例えば、2,000万円の贈与を受けたとき、暦年課税だと次のとおり贈与税がかかります。

贈与税(暦年課税)=(2,000万円-贈与税基礎控除110万円)×税率50%-控除額225万円=720万円

しかし、相続時精算課税制度を適用すれば、非課税枠2,500万円の範囲内の贈与であるため、贈与時点では贈与税はかかりません。将来、相続があったときに相続財産に2,000万円を加算して相続税を計算しますが、それが基礎控除以下であれば、相続税もかかりません。つまり、贈与税も相続税も払わなくてすむケースがでてくるのです。

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相続時精算課税制度には適用要件がある

非常に有り難い制度ですが、この相続時精算課税制度を利用できるのは贈与者と受贈者が次の関係にある者でなければなりません。

・贈与者が65歳以上の親であること

・受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子がなくなっているときは20歳以上の孫を含む)

 

相続時精算課税制度を適用するための手続き

相続時精算課税制度を利用するためには、贈与税の申告期限内(贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間)に「相続時精算課税制度届出書」などを贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。

なお、相続時精算課税制度は一度適用すると、その者からの贈与については以後継続して相続時精算課税制度の適用を受けなければなりません。

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どんなときに相続時精算課税制度を適用すればよい?

贈与するにあたって、暦年贈与で贈与税の申告をした方がよいのか、それとも相続時精算課税制度を利用した方がよいのか、は相続税のことも考えながら慎重に検討することが必要です。特に次のようなケースで贈与をする際は、相続時精算課税制度を利用すると大きなメリットが得られる可能性があります。

相続財産が相続税の基礎控除以下となりそうなとき

相続財産が相続税の基礎控除以下となりそうなときは、相続時精算課税制度を利用して贈与をしておけば、実質的に贈与税の負担を生じさせずに贈与をすることができます。

値上がりが見込める資産

相続時精算課税制度を利用した場合、相続税を計算する際は、贈与があった時点の評価を用います。そのため、将来値上がりが見込める不動産や株式などを、相続時精算課税制度を利用して値上がり前に贈与しておくことが考えられます。

収益不動産

収益不動産を相続時精算課税制度を利用して贈与すると、それ以降の不動産収益は贈与を受けた者に帰属します。不動産収益が資金として残されるとそれに対して相続税がかかりますが、先に贈与しておけば不動産収益の蓄積については相続税はかからないこととなります。

 

まとめ

贈与税の特例である相続時精算課税制度について解説しました。相続時精算課税制度は相続対策(生前対策)の有効な方法です。ただし、トータルでの税金を減らすためにはしっかりと財産を確認し、計画的な贈与と制度の利用を行う必要があります。これから相続対策を考えたい方はみんなの相続相談・大阪へお気軽にご相談ください。