相続税の配偶者控除とは?メリット・デメリットは?

相続税には、配偶者のための配偶者控除がありますが、配偶者控除の活用は相続税の支払いでお得になるのでしょうか。配偶者控除のメリットとデメリットを紹介します。 目次相続税の配偶者控除と … 続きを読む 相続税の配偶者控除とは?メリット・デメリットは?

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相続税には、配偶者のための配偶者控除がありますが、配偶者控除の活用は相続税の支払いでお得になるのでしょうか。配偶者控除のメリットとデメリットを紹介します。

相続税の配偶者控除とは?メリットは何?

相続税の税額控除には、配偶者控除があります。内容は、1億6千万、または配偶者の法定相続相当額のうち、金額の高い方が正味の遺産額から控除されるというもの。最低でも1億6千万までの控除を受けられます。

配偶者が被相続人(亡くなった人)とともに財産を形成してきたこと、今後の配偶者の生活、相続した配偶者が亡くなったときの相続を考慮してこのような配偶者控除が設けられています。

相続税の配偶者控除のメリット

相続税の税額控除には、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や未成年者控除(20歳までの年数×10万円)などの控除もありますが、いずれも配偶者控除のような大きな税額控除はありません。

配偶者控除を利用することで相続税を大幅にカットできます。場合によっては、相続税額がゼロとなることもあるでしょう。

例えば以下のような事例です。

例1.配偶者の遺産相続額が1億円
(解)配偶者控除の最低ラインは1億6千万円なので相続税はかかりません。

例2.遺産総額が5億円で法定相続人が妻1人と子2人。妻の遺産相続額2億円。
(解)法定相続分は、配偶者1/2と子1/2なので、それぞれ妻2.5億円、子A 1.25億円、子B 1.25億円です。例では妻が相続したのは2億円。法定相続分の2.5億円よりも少ないので相続税はかかりません。

適用に条件はある?

相続税の配偶者控除は、婚姻関係にある配偶者であれば、配偶者控除を適用した上で相続税の申告をすることによって受けることができます。婚姻関係にない内縁関係、事実婚は認められませんが、婚姻期間に関しての条件はありません。婚姻期間が1ヶ月でも30年でも適用されます。

 

相続税の配偶者控除のデメリット

相続税の配偶者控除は、税金の控除額も大きく、メリットしかないように感じるかもしれません。しかし、相続する配偶者が高齢の場合はデメリットもあります。被相続人から配偶者への相続を一次相続として、近い将来相続した配偶者から子供などへの二次相続があるためです。

例えば、1億4,800万円を相続する場合で考えてみましょう。

例1.配偶者が一次相続で遺産総額の1億4,800万円を相続。二次相続が1億3,000万円で子2人が相続したとき。
(一次相続)
配偶者がすべて相続したため、配偶者控除により相続税はない。
(二次相続)
基礎控除(3,000+600×2人)4,200万円を差し引いた額は8,800万円。
子2人が法定相続分を相続したものとして計算すると、
子A 4,400万円 × 20% - 200万円 = 680万円
子B 4,400万円 × 20% - 200万円 = 680万円
合計1,360万円の相続税がかかる。

例2.一次相続で配偶者と子2人が法定相続分を相続。二次相続時、5,600万円を子2人が相続したとき。
(一次相続)
基礎控除(3,000+600×3人)4,800万円を差し引いた額は1億円。
配偶者1人、子2人が法定相続分を相続したものとして計算すると、
配偶者 5,000万円 × 20% - 200万円 = 800万円
子A 2,500万円 × 15% - 50万円 = 325万円
子B 2,500万円 × 15% - 50万円 = 325万円
相続税合計1,450万円。配偶者は配偶者控除により0円、子はそれぞれ1,450万円の1/4(362.5万円)の相続税がかかるので合計725万円になる。
(二次相続)
基礎控除(3,000+600×2人)4,200万円を差し引いた額は1,400万円。
子2人が法定相続分を相続したものとして計算し、
子A 700万円 × 10% = 70万円
子B 700万円 × 10% = 70万円
合計140万円の相続税になる。

配偶者が二次相続までに1,800万円を処分したとき、例1だと相続税が1,360万円かかるのに対して、例2は相続税の合計865万円です。このように、配偶者控除のフル活用にはデメリットもあります。

相続税の配偶者控除するには相続税の申告が必要

相続税の配偶者控除適用には、配偶者控除を適用した上で、相続税の申告を行います。

配偶者控除適用のために必要な書類
・相続税の申告書
・戸籍謄本
・配偶者が取得した財産がわかる書類(遺言書の写し、遺産分割書の写しなど)

遺産分割書の写しを財産分割の証明として提出する場合は、印鑑証明書の添付も必要です。

また、相続税の申告・納付期限である相続のあった日から10ヶ月以内に遺産分割が進まないこともあります。遺産分割が終わっていなくても相続税の申告期限までに申告しなければならないので、この場合は分割後に配偶者控除の適用を受けるために「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付しましょう。

期限後に相続税の申告をしても適用される?

相続税は基礎控除により相続を受けるすべての人が払うものではないので、納税義務に気づかない人もいます。納税義務を後から知った場合も考慮して、期限後申告でも配偶者控除の適用が可能です。納税事実に気づいたら早めに申告するようにしましょう。

また、申告期限までに遺産分割が進まない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すると紹介しましたが、この時点では配偶者控除は受けられません。分割後、更正の請求をするによって配偶者控除の適用を受けた後の税額との差額について還付を受けることができます。

 

まとめ

相続税の配偶者控除を適用することにより相続税は減りますが、二次相続もありますので、どのような遺産分割をすればトータルの税額が少なくなるかどうかは難しい問題です。相続対策をどうしていくかは、専門家に聞いた方がよいでしょう。みんなの相続相談・大阪では、配偶者控除を含め相続税に関する悩み解決をサポートしています。