相続の遺留分を理解し、正しい遺産分割を行うために

ある日、「全財産を○○さん(愛人の名前)に相続させる。」との父親の遺書を見つけたら、あなたはどうしますか? 残された家族は困ってしまうのではないでしょうか。そのようなとき、遺留分制 … 続きを読む 相続の遺留分を理解し、正しい遺産分割を行うために

この記事は約5分で読み終わります。

ある日、「全財産を○○さん(愛人の名前)に相続させる。」との父親の遺書を見つけたら、あなたはどうしますか? 残された家族は困ってしまうのではないでしょうか。そのようなとき、遺留分制度を活用することができます。

遺留分とは?

被相続人が遺言書を作成し、遺言などで特定の者だけに相続させる旨の指定をした場合は、その遺言通りに実行されることになります。しかし、一定の条件を満たす相続人(遺留分権利者)には、最低限の遺産の取り分を保証しようというのが遺留分です。一方、遺言書がない場合には、法律が規定する分配方法により相続分が決定します。これを法定相続分といいます。遺留分を理解するためには、法定相続分を知る必要があります。

わが国では被相続人が生前に遺言書を作成しているケースはそれほど多くなく、このような場合に備えて法律で相続分が定められています。法律に従って相続財産を相続する人のことを法定相続人といい、配偶者、子(子が死亡している場合は孫・ひ孫)、父母(父母が死亡している場合は祖父母)、兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は兄弟姉妹の子)がこれに当たります。以下のように相続人の順位と割合が定められています。
第1順位  配偶者2分の1 子(子が死亡している場合は孫・ひ孫)2分の1
第2順位  配偶者3分の2 父母(父母が死亡している場合は祖父母)3分の1
第3順位     配偶者4分の3 兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は兄弟姉妹の子)4分の1

遺留分の割合と対象となる財産について

*遺留分の帰属およびその割合(民法第1028条)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ該当各号に定める割合に相当する額を受ける。
① 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1。
② 前号以外の場合、被相続人の財産の2分の1。

*遺留分の算定方法
相続財産額を計算し、それに上記の遺留分の割合を乗じ、複数の遺留分権利者がいる場合には,更にそれぞれの法定相続分の割合を乗じます。遺留分権利者が被相続人から生前贈与ないし、遺贈を受けた場合には、その額を控除して算定します。相続人以外への贈与は、相続開始前の1年以内にしたものに限り、その価格を算入します。また、生前贈与・遺贈などにより遺留分が侵害された場合には、受贈者・受遺者に遺留分減殺請求(侵害分を取り戻すための請求)をすることができます。

具体例1. 遺留分権利者:配偶者、子供2人
相続財産 1000万円の場合
遺留分額  500万円(1000万×1/2)
配偶者  250万円(500万×1/2)
子供1  125万円(500万×1/4)
子供2  125万円(500万×1/4)

具体例2. 遺留分権利者:配偶者、子供3人(長男 生前贈与200万円)
預金1000万円の場合
相続財産 1200万円(1000万円+生前贈与200万円)
遺留分額  600万円(1200万×1/2)
配偶者  300万円(600万円×3/6)
長男     0円 (600万円×1/6-200万円)
子供2   100万円(600万円×1/6)
子供3  100万円(600万円×1/6)

具体例3. 遺留分権利者:配偶者
負債額(借金など)1000万円 Aへ遺贈 建物600万円 Bへ贈与 土地1000万円
(A・Bは相続人ではない。Bへの贈与は相続開始前1年以内)
相続財産   600万円 (遺贈分600万円+贈与分1000万円-負債額1000万円)
遺留分額   300万円
遺留分減殺額 1300万円(遺留分額300万円−財産0円+負債額1000万円)
Aから600万円 Bから700万円遺留分減殺請求することができます

遺留分を手に入れるために

遺留分の請求ができる一定の条件を満たす相続人(遺留分権利者)は、配偶者、子(子が死亡している場合は孫・ひ孫)、父母(祖父母)に限られます。その請求するためには相続人、相続財産、遺留分額、遺留分減殺額を明確にする必要があります。

生前贈与の場合は贈与当時の額ではなく、現在の貨幣価値に直して遺留分を計算します。そして、遺留分が侵害されている場合には、遺留分減殺請求をすることができます。ただし、この請求権は遺留分権利者が相続の開始(被相続人の死亡時)および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは、時効によって消滅します。

相続の開始を知らないまま10年が経過したときも同様に時効消滅します。行使の方法は、相手に遺留分の請求について伝えるだけですが、口頭などではなく、証拠として残すために配達証明付き内容証明郵便を使用してください。文面は「△△の遺言により私の遺留分が侵害されたので、○○に対して遺留分減殺請求権を行使する。」といった趣旨の内容を書きます。減殺対象や金額などを細かく記載する必要はありません。

 

以上、遺留分を理解していただくためにおおまかに紹介しましたが、実際には相続人が養子だったり、認知による子の存在、または受贈者が贈与物件を売却してしまっているなど様々なケースが想定されます。