相続税を抑えたい!7つの節税方法と知っておきたい7つの知識

2013年(平成25年)の税制によって、2015年(平成27年)よりこれまで5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)だった相続税の基礎控除が、3,000万円+(600万円 … 続きを読む 相続税を抑えたい!7つの節税方法と知っておきたい7つの知識

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2013年(平成25年)の税制によって、2015年(平成27年)よりこれまで5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)だった相続税の基礎控除が、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)へと大幅に減額されました。

これはつまり相続税の対象範囲が拡大されたということ。これまで相続税について考える必要のなかった家庭も、相続税を気にする必要があるかもしれないということです。基礎控除が縮小された今、相続税の節税対策が無駄に相続税を払わないための大きなポイントとなります。

相続前に考えたい相続税の節税(相続対策・税全体作)のポイントと注意点を確認してみましょう。

目次

相続税を節税するとどうなるの?まず1例をご紹介

「節税」とは、法律を利用して無駄に税金を支払わないようにすることであって、法律を無視するような脱税とは違います。相続税においても、節税ポイントを抑えれば大幅に支払う税金を減らすことも可能です。

実際に節税することによって、どのくらいの相続税を減らすことができるのか、生前贈与を活用した例を使って紹介していきます。

(例)5,000万円の相続を母(4,000万円)と子1人(1,000万円)がした場合
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 2人) = 4,200万円
課税遺産総額 = 5,000万円 – 4,200万円 = 800万円
各相続額4,000万円と1,000万円の4:1なので… 800万円 ÷ 5 = 160万円

母 160万円 × 4 = 640万円 640万円 × 10% = 64万円
子 160万円 × 1 = 160万円 160万円 × 10% = 16万円
相続税総額 = 60万円

母 60万円 × 4/5 = 48万円 → 配偶者の軽減があるので実質0円
子 60万円 × 1/5 = 12万円
実際に支払わなくてはならない相続税額は、子の12万円

(例)10年間母と子に100万円ずつ贈与し続けた場合
母 100万円 × 10年 = 1,000万円
子 100万円 × 10年 = 1,000万円
5,000万円 - (1,000万円 + 1,000万円) = 3.000万円

贈与税の基礎控除額110万円を下回る100万円の贈与を毎年行なった場合です。3,000万円で基礎控除の4,200万円を超えないため、相続税が課税されなくなります。

このように、節税ポイントをうまく抑えれば高額な相続税を減らすことが可能となります。

 

相続税の節税対策その①生前贈与を活用する

生前贈与とは、亡くなる前に相続財産を子や孫などに贈与してしまうことです。毎年贈与をする暦年贈与の他、贈与税の制度を利用することで将来の相続税の節税に繋がります。生前贈与の4つの活用法をみてみましょう。

毎年贈与して相続税を減らす(暦年贈与)

贈与税には110万円の基礎控除があります。つまり、年間110万円までの贈与の受け取りであれば税金がかからないということ。この110万円という基礎控除の枠を利用して毎年贈与して相続財産を減らす方法です。

例えば、2人に年間100万円ずつ生前贈与するとして5年間贈与した場合、20年間贈与した場合で考えてみましょう。

(5年贈与した場合) 100万円 × 2人 × 5年 = 1,000万円
(20年贈与した場合) 100万円 × 2人 × 20年 = 4,000万円

このようにある程度の期間が必要ですが、20年間贈与し続ければ4,000万円の相続分を減らすことが可能です。2億円以上の相続財産がある場合は、贈与税の基礎控除110万円を超えるような贈与でも、結果的にお得になるケースもあります。

ただし注意しなくてはならないのが、相続開始過去3年以内の贈与は、相続財産に含めなければならないということ。ただ名義を渡しただけで管理者が移っていなければ意味がないということです。完全に所有や管理者が移っている状態でなければなりませんし、相続間近になってあわてて贈与したとしても相続対策上は意味がありません。

相続時精算課税制度を使って贈与する

相続時精算課税制度とは、贈与税における制度で、2,500万円までなら贈与を受けても控除ができるという制度です。贈与時に加算しない代わりに、相続時に財産を加算する仕組みになっています。

現在ある財産を相続時に減らす目的では活用できませんが、相続時精算課税制度が生きてくるのは将来財産を増やす可能性のある財産の贈与を受ける場合。例えば賃貸により収入を得ている土地や建物が該当します。家賃収入などで将来の相続を増やすより、先に贈与で額を確定させることで将来の相続分を減らすということです。

ただし、相続時精算課税制度は毎年贈与を受けて将来の受け取り分を減らすやり方と併用することができませんし、撤回もできません。また、60歳以上の父母や祖父母などが、20歳以上の子または孫に贈与する場合に限られます。

毎年贈与する暦年課税のリミットが迫っている、または家賃収入の額を考えると暦年課税よりもメリットがある場合などに利用するとよいでしょう。

(関連記事)相続時精算課税制度とは何ですか?

贈与税の配偶者控除(いわゆるおしどり贈与)をする

何にでも使える現金ではなく、配偶者に住まいを相続したいときに使える贈与税の制度です。正しくは、居住用住居のための配偶者控除を指します。

この贈与税の配偶者控除は、自宅の贈与に特化したもの。基礎控除110万円と合わせて、条件を満たした配偶者であれば2,000万円の配偶者控除、つまり2,110万円までなら税金を支払うことなく住まいを贈与することが可能です。配偶者に多額の相続財産があるなら検討してみることをおすすめします。

なお、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)ができる条件は以下の通りです。
・20年以上の婚姻期間がある
・国内にある自分が住むための住宅または住宅を取得する金銭
・贈与の翌年3月15日までに住んでいて今後も住み続ける見込みである

金銭の贈与でもおしどり贈与を活用できますが、専ら自分が住むための不動産を取得するための金銭である点に注意しましょう。不動産以外に使う金銭の贈与では、おしどり贈与を活用することができません。

教育資金贈与を活用する

相続を受ける相手が30歳未満、またはその子が30歳未満の場合は教育資金贈与を活用する方法があります。教育資金贈与とは、教育資金として一括1,500万円まで子や孫に対して非課税で贈与できる制度です。

ただし贈与した金銭の使用用途は教育資金に限られてしまいます。教育資金とは、学校の入学金や授業料などのこと。学校以外の塾などの教育費は1,500万円の非課税枠のうち500万円までなら利用可能です。

また教育資金贈与を利用して受けた贈与も、使いきれずに30歳を超えてしまったら残った分が贈与税の課税対象となる点については注意しなくてはなりません。

このように年齢や使用用途の点で縛られますが、子や孫がまだ学校教育の段階で小さい場合には、最大1,500万円という大きな節税に繋がります。効率よく孫にお金を残したい、そして相続分もうまく節税したいと考えるなら使わない手はないでしょう。

なお、教育資金贈与は時限措置として設けられたもので、利用するには、平成31年3月31日までに申請する必要がありますので、期限には注意しましょう。

相続税の節税対策その②生命保険を活用する

相続税には、死亡保険金の非課税枠があります。非課税枠の計算は以下の通り。

500万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人の数が3人であれば、1,500万円まで生命保険金が非課税になります。相続税の節税を考えるなら、法定相続人の数に応じた生命保険の契約または見直しが効果的です。

生命保険活用のメリット

生命保険の大きなメリットはリスクがあまりなく、利用しやすいところです。生前贈与の教育資金制度や配偶者控除のように、条件も細かくないので誰でも活用しやすいです。生命保険に加入するなら活用しない手はないでしょう。
また、相続人は受け取った生命保険金で相続税を支払うこともできますので、相続税の納税資金作りにもなります。

生命保険活用の注意点

生命保険は誰でも加入できるわけではありません。例えば90歳を超えているなど高齢の場合は加入が難しいことがあります。

また、生命保険に加入したからといって、必ずしも相続にかかわるわけではありません。相続税の対象となるのは、被保険者と契約者(保険料の支払い者)が同じで、受取人が別だった場合。被保険者や契約者、受取人次第では所得税や贈与税に該当することもあるので注意しましょう。

相続税の節税対策その③お墓や仏壇を購入し活用

お墓や仏壇の購入は社会的な面から、相続税では非課税財産になっています。ただし、非課税とカウントされるのは、被相続人が亡くなる前に購入していた場合の話。

被相続人の死後に購入したものは対象となりません。相続税の節税を考えるなら、お墓や仏壇の購入は相続前に済ませておくのが正しいです。

生前に購入した場合としなかった場合の違い

お墓や仏壇が決まると、生前に購入していたかどうかで非課税財産になるかが決まると紹介しましたが、実際相続税にどのくらいの影響を及ぼすのでしょうか。

5,000万円の財産を2人が相続する場合、基礎控除額は3,000+600×2人で4,200万円なので課税財産の総額は800万円です。他控除等を考慮しない場合、単純に課税額1,000万円の相続税の税率は10%なので、80万円が相続税になります。

それでは、生前のお墓の購入費が200万円だった場合を考えてみましょう。非課税財産200万円なので、課税総額は600万円。相続税の税率10%をかけると相続税は60万円です。一例ですが、20万円の相続税を減らすことができる結果となっています。

お墓や仏壇で節税する注意点

基本的にはあまり考えなくてもよいですが、高価すぎるお墓や転売を目的としたものなどは、非課税と認められないことがあるので注意しましょう。

 

相続税の節税対策その④不動産を活用する

ある程度まとまった現金があるなら、不動産投資をして節税するのも方法の1つです。自宅ではなく賃貸にしたり、または広い土地を購入したりすることで節税できます。節税におすすめのいくつかのケースをみていきましょう。

アパートやマンションを建設して節税

住宅を購入できるくらいの資金があるなら、アパートやマンションを建てて賃貸物件にした方がお得です。理由は、賃貸物件にすることで相続税評価額が下がるため。

例えば、1億円の現金を持っていた場合、基礎控除額などを差し引くまえの相続財産の評価額は当然1億円となります。しかし、、1億円の現金を使って賃貸物件を購入した場合は賃貸不動産として評価されることとなり、評価額が3割程度低くなる可能性があります。

1億円の7割で考えると、アパートなどを建てて全室を賃貸にしたときの相続税の評価額は7,000万円となります。ただ何もせずに相続を受けたときよりも相続財産の評価額が下がるため、効果的に相続税を節税することが可能です。

なお、土地についても貸家建付地の評価となり相続税評価額が軽減がされることとなります。自宅として使うよりも賃貸にした方がよい理由です。

タワーマンションを利用した節税には制限あり

タワーマンションの購入を検討する場合は、低層階よりも高層階を購入する方が節税になる可能性があります。理由は、低層階と高層階とではプレミア価格によって同じ間取りでも大きく価格が変わるためです。

例えば低層階で4,000万円のマンションがあったとします。タワーマンションの場合は高層階になるにつれて同じ部屋や間取りでも高値が付きやすいので、高層階で7,000万円と大きく値幅があっても不思議ではありません。ですが、この大きな値幅はあくまで販売価格の話。

これに対して相続税評価額は低層階、高層階関係なく一律に評価されていたことを利用した節税(いわゆるタワーマンションを利用した節税)がよく行われていました。しかし、現在は一定の制限がされ、いわゆるタワーマンションについては、相続税評価額も低層階と高層階で異なり、高層階ほど高い評価となるように改正が行われました。

低層階と高層階での評価額の差は実際の販売価格の差ほどではないケースもあり、うまく活用すれば節税にはなりますが、一定の制限が設けられたことに注意してください。

 

ワンルームマンションを購入する

タワーマンションの高層階を購入するには、高額のまとまった資金が必要です。そのため、タワーマンションの高層階を購入する方法は限定されてくるでしょう。それでは、数千万円の節税をしたい場合にはどうすればよいか。1,000万円や2,000万円程を生かすなら賃貸用のワンルームマンションの購入がおすすめです。

ワンルームマンションを賃貸物件として購入するメリットは、まずタワーマンションと比べて購入費が安価で済むこと。そして、相続税の評価によって節税効果を得られることです。

アパートやマンションを建設した場合と同様に、2,000万円の現金を相続するより、2,000万円のワンルームマンションを相続した方が断然お得です。

ただし場所によっては、空室リスクや将来の修繕などもあるため注意しましょう。

 

相続税の節税対策その⑤住宅取得資金贈与を活用する

不動産を利用した相続税対策は、不動産を購入する以外にも、贈与税制度を活用して節税する方法があります。1つは先に紹介した配偶者控除を活用して、生前贈与する方法です。もう1つは住宅取得資金等の非課税枠を利用して、子や孫に贈与する方法になります。

住宅取得資金等の非課税を贈与で活用する

住宅取得資金等の非課税は、直系尊属、つまり子や孫に相続対策として不動産購入などにかかる費用を贈与したときに活用できる制度です。新築の購入だけでなく、中古物件の購入、増改築も対象になります。

この制度により、配偶者への不動産相続対策だけでなく、子や孫に対しても住宅購入費という名目で相続対策ができるようになりました。なお、非課税額は最大で1,200万円(2016年から2020年まで)となり、贈与税の基礎控除にプラスして計算可能です。

基礎控除と合わせて非課税にできるため、1,200万円の控除が可能な場合は、最大で1,310万円までなら住宅購入用の贈与に税金がかかりません。ただし適用にあたっては、以下の条件を含め細かな条件が定められているので注意が必要です。

【住宅取得資金等の非課税要件の一部】
・贈与の年の1月1日時点で贈与を受ける者が20歳以上
・贈与の年、贈与を受ける者の合計所得が2,000万円以下
・贈与の年の翌3月15日までに居住、または居住が見込まれる  など

贈与税の申告にあたっては計算明細書等の添付が必要

贈与税の基礎控除110万円は、贈与を受ける人全員に適用されるものなので、年間110万円を下回る贈与であれば特に贈与税の申告を行う必要はありません。

ただし、基礎控除110万円を超える場合で住宅取得資金の非課税などの制度の適用を受けたい場合は、申告が必要なので注意しましょう。

なお、住宅取得資金の非課税を利用したい場合は、管轄の税務署へ確定申告書の第一表と合わせて、住宅取得資金の非課税に関する計算明細書にあたる第一表の二の提出が必要です。また申告の際は、戸籍謄本と住民票の写し、契約書の写しや登記事項証明書の準備もしておきましょう。

これらの贈与税の申告は、相続税が相続を知った10ヶ月以内であるのに対し、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までと申告期間が限られています。問題なく非課税枠を利用するためにも期限内に申告できるよう同時に準備をすることも大切です。

相続税の節税対策その⑥養子縁組を活用する

相続税を節税する方法としては、養子縁組を活用する方法もあります。養子縁組とは、血縁とは関係なく法的に親子関係をつくること。法定相続人などの関係で相続税を下げることができます。

養子縁組で相続税が下がる理由

養子縁組で相続税が下がるのは、相続人の人数が増えることに関係しています。まず、法定相続人の人数が増えることによっての基礎控除額、死亡保険金の非課税枠が増加するためです。基礎控除額は1人につき600万円、死亡保険金の非課税枠は1人につき500万円拡大されます。

また非課税枠が増加して、相続における分配が1人増えることによって1人あたりの相続額や課税額が減り、相続税率が下がる効果も期待できます。相続税は累進課税。相続額が大きいほど税率が上がり、最大55%(控除額は7,200万円)にまでなるため、税率軽減のメリットも大きいです。

養子縁組が無尽にできない点は注意

相続税の節税で効果を発揮する養子縁組ですが、いくつも養子縁組を組んだからよいというわけではありません。実子がいる場合に相続税の計算で認められる養子は1人、実子がいない場合は2人と決められています。3人、4人と養子縁組を増やしても相続税でのメリットはないため注意しましょう。

 

相続税の節税対策その⑦海外移住をする

第二の人生を謳歌するために海外移住を計画している人もいるかもしれません。実は、海外移住は老後の充実だけでなく、相続税の節税の面でも効果が期待できることがあります。

相続税のない国もある

海外移住によってなぜ相続対策ができるのかというと、海外の新興国や福祉が充実している国など一部相続税のない国があるためです。相続税が完全にない国に移り住むことによって、相続税を払わなくてもよいようにすることができます。

相続税ゼロの国は、以下のような国が該当します。
・カナダ
・オーストラリア
・マレーシア
・シンガポール
・スウェーデン
・中国(香港)  など

相続税をなくすための条件は厳しい

資産を海外に移しただけでは相続税対策とすることはできません。海外移住により節税は可能ですが、適用が厳しいのが現実です。

適用されるにはいくつか条件がありますが、贈与する側だけでなく贈与を受ける側も海外に5年以上住んでいること、財産が海外にあることなど、細かな条件が定められています。

なお中途半端で適用条件を満たしていない場合、海外に財産があることで相続人が苦労する場合もあるので、相続税目当てで移住する場合は、要件を確認するなどしっかり対策をしておきたいです。

 

相続税の節税対策を成功に導くコツとは

被相続人の死後にもっと対策をしておけばよかったと後悔してもはじまりません。相続税の節税対策を成功に導くには、専門家の力を活用することが重要です。

相続税の節税対策は税理士などの専門家抜きでは困難

相続税は相続する財産の種類で評価が異なりますし、申告も贈与税や所得税の申告とは異なります。さらに、自分で申告したために過少に申告してしまったなど誤りがあると、過少申告加算税や延滞税などペナルティを受ける結果になりかねません。

相続税の申告はもちろん、効果的に節税対策を図るには専門家抜きでは困難です。相続税の節税を導くには、相続税に強い税理士など専門家への依頼が必須となってくるでしょう。

相続税に強い税理士を選ぶポイントは?

相続税を節税するには専門家の力が欠かせませんが、専門家であれば誰でもよいわけではありません。相続税に強い税理士を選びことが重要です。

まず適切な税理士を見分けるポイントは、相続の申告の経験に長けているかどうか。税理士であっても、相続の経験がほとんどないケースもあります。経験やスキルに乏しいと適切な財産の評価ができず、相続税を無駄に多く払ってしまう結果につながることも少なくありません。

相続税の節税を効果的に、かつ最大限発揮するためにも相続の経験が十分にある税理士に依頼するようにしましょう。

また、合わせて確認しておくとよいのが弁護士などの他の専門家との連携がうまく取れていることです。他の専門家との連携があれば、相続時のトラブルなど思わぬことがあった場合の早期解決の手助けになります。

相続税の節税対策に役立つ知っておきたい7個の知識

被相続人死後の相続では、相続税が発生することがあります。ですが、控除など上手く利用すれば相続税を抑えることが可能です。知っておきたい節税の知識7つを紹介します。

配偶者には1億6千万円までの税額軽減がある

子どもや親兄弟などが相続を受ける場合と違い、配偶者が相続を受ける場合は大きな税額軽減があります。正味の遺産が1億6千万円、または法定相続相当であれば相続税がかからないというもの。

基本的には1億6千万円と考えて問題ありませんが、5億の財産を妻と子2人が相続する場合、妻の法定相続分は2分の1なので、2億5千万円まで妻の相続に税金は賦課されません。

20歳になる年まで加味される未成年者控除

相続人が未成年の場合、満20歳になるまで、年10万円の控除があります。

例えば12歳6ヶ月だった場合、1年に満たない6ヶ月は切り捨てられるので控除の対象になるのは満20歳までの8年です。合計で80万円の控除が適用されることになります。

二重払いを防ぐ相次相続控除

相次相続控除は、被相続人つまり亡くなった人が過去10年以内に相続を受けており、相続税を支払っている場合に適用される控除です。

例えば祖母の相続を父がし、父が亡くなった場合が該当します。相続のスパンが短いために二重で相続税がかかることを考慮して、控除枠が設けられています。

場合によっては扶養義務者の相続も抑えられる障害者控除

相続する人は85歳未満の障害者だった場合に、受けられる制度です。85歳になるまでの年数1年につき10万円、重度な障害がある特別障碍者は1年につき20万円が控除されます。

なお、障害のある相続人の控除で引ききれなかった額は、扶養義務者の相続税額から控除することが可能です。

生前贈与の相続にかかわる贈与税額控除

贈与であっても、相続開始の過去3年の生前贈与は、相続税の計算に入れる必要があります。贈与税額控除は、生前財産と実際の相続税との支払いでの不公平をなくすための控除。相続税の計算に入れる代わりに、支払った贈与税は相続税から差し引く制度です。

海外と二重に加算しないための外国税額控除

海外に財産がある場合、財産のある国で相続税がかかることがあります。外国税額控除とは、税金の支払いを二重にしないために設けられている制度です。要件がありますが、一部外国で払った相続税を日本の相続税から差し引くことができます。

相続税の納めすぎで還付が発生することも

相続した財産の評価が適正に行われていなかったなど、相続税を納めすぎている場合は、還付が発生することもあります。払い過ぎた相続税を取り戻すには、還付の手続きと申告の修正が必要です。還付がわかったら、適切な税理士に相談しましょう。

まとめ

相続税は、制度や控除などをうまく利用し、相続対策(生前対策)を行った場合と行わなかった場合で税額が全く変わってきます。事前に対策をすることによって、法的に問題ない節税が可能です。節税することによって、手元に残る財産が増え、有効活用することができます。ただし、適切に節税をするには専門家への相談が欠かせません。

みんなの相続相談では、相続税に強い税理士が、相続に関する悩みを受け付けていますのでぜひご相談ください。